当社が平成29年から令和元年までの3年間にお客様の依頼を受けて申告した相続税の申告件数は98件でした。この期間に相続税の実地調査を受けた件数は7件で約7%の調査率です。最新の情報による相続税の実地調査率は約12%ですから、当事務所の調査率は約半分といえます。
相続税の調査で税務署が動くのは、土地などの不動産よりも、金融資産をターゲットにしていることが多いと思われます。もちろん税務署は税収と公平性の確保から、怪しいと判断すれば徹底的に調査をします。
調査が入るというだけで、遺族にとってはプレッシャーになり、奥さんが寝込んでしまうという例もあります。調査をするかどうかを決めるのはあくまでも税務署です。しかし、私たちは税務署が調査をしなくてもいいと思えるように、事前に相続人の方やそのご家族の資産を調査・整理したり、税理士法で規定された「書面添付」という準備書面を作成したりして、遺族の方に安心してもらえるような申告を心がけています。
納税額を少なくすることを重視する方に言わせると、「最初から全部出しているから、調査が入らないのは当たり前だろう」となりますが、全然違います。例えば、子の名義の預金です。子自身の不動産から生じた収入や亡くなった方から贈与を受けてキチンと申告していれば子本人の財産です。しかし、子は全く知らない間に、亡くなった方が勝手に子名義の預金をしていたら、いわゆる「名義預金」です。子や孫などの名義の預金について、本人の財産と判断してよいものと、被相続人の財産として相続財産に含めるべきものとを、証拠書類に基づいて適正に判断します。
一方で税法は冷酷な法体系でもあります。例えば夫を亡くした専業主婦が毎月やりくりしてコツコツ貯めたお金、これも税法上は夫のものです。奥さんが自分のご両親から相続した財産やパートで得た給与などはもちろん本人の財産です。しかし、夫の給与から貯めた資金は、民法上は2人で築いてきた財産だから半分ずつで良いのですが、税法では稼いできた夫のものになります。なかなか納得していただけないのもわかるのですが、奥さん固有の財産として認められるものと、亡き夫の財産としなければならないものとを客観的な証拠に基づいて明らかにすることが必要です。
相続の仕事は極めて専門性が高いのが実情です。大阪府下全域の仕事を手掛けていますが、土地の評価などが地域によって異なるケースがあります。自治体が独自の開発ルールを条例化していることなどが原因ですが、実に様々な要素がからんできます。相続税の申告件数は税理士1人あたり1年に1回あるかどうかです。当社は年間約30件以上手掛けて30数年たっていますので、約1,000件のノウハウを積んできた自負があります。
納税額を適正に少なくして、残された人が幸せに暮らしていけるお手伝いをするのが税理士の仕事だと思っていますが、一般の人は税理士の良し悪しがわかりにくい面があるのでしょう。
当社にも「税金を払いすぎたようなのですが」という相談が年に1、2件あります。他の税理士が申告した相続税の還付請求手続きで、1100万円の相続税額が戻ってきた事例がありました。当社で相続税の申告をさせていただいた方の多くが、これまで私どもで確定申告や過去に相続税の試算、居住用財産の配偶者への贈与、子や孫への贈与税の申告などのお手伝いをさせていただいた方や、当社で申告をして「安心の相続」を実感していただいた方からの友人、知人、親戚などのご紹介や提携している金融機関や弁護士、司法書士、建築会社などからのご紹介です。やはり一度は事務所に足を運んで、どんな仕事のやり方をしているか聞いていただくだけでも価値はあるでしょう。
当社の相続業務に取り組む基本理念は「安心の相続」です。相続が発生しますと、お通夜、お葬式、初七日、四十九日、遺言があればその開示、なければ遺産分割協議、生命保険受取りや日常生活に必要な名義変更など多くの手続きが必要です。一生に何度も経験することのないこれらの手続きを、豊富なノウハウとスキルによって、弁護士や司法書士、土地家屋調査士、などの当社のネットワークを生かして「安心の相続」をお手伝いします。
また、相続税は生前からの長期にわたる対策が重要です。ところが、贈与一つするにも、誰にどのくらいの期間をかけてどの財産を贈与するかを決めるには、その方の財産や収入状況の現状分析が欠かせません。的確な現状分析がすべての出発点です。相続税の基礎控除が引き下げられ、税率が引き上げられたこの機会に、信頼おけるプロによる的確な現状把握を行い、実効ある対策実行のお手伝いをします。